「特定活動46号」と「技術・人文知識・国際業務」、どっちがいい？

2023年3月31日 2023年4月3日

sakata satoshi

就労ビザのなかでも2019年に新しく始まった「特定活動46号」はまだまだ知らない方も多いようです。
特に既存の「技術・人文知識・国際業務」とどちらが良いのかという点がいまいちわかりにくいかと思います。
ここでは両者を比較検討してみて解説します。

「特定活動46号」のメリット

単純労働もできる

「特定活動46号」最大のメリットは単純労働もできることです。
「技術・人文知識・国際業務」では認められていなかったサービス業務や製造業務をメインにすることも可能です。
具体例としては
・飲食店での接客業務
・工場のライン作業（他の外国人スタッフへの指示などの業務も必要。ライン作業のみは不可）
・小売店での接客業務
・ホテルや旅館でのベルスタッフ
・タクシー会社でタクシードライバーとして勤務
などです。（いずれも日本語能力を生かした業務に従事する必要はあります。）

幅広い業務が認められるため、自社での働き方に合った外国人スタッフを採用することができます。

アルバイトからそのまま正社員にしやすい

単純労働ができる、ということはアルバイト時代の作業と関連性が高い場合も多いのでアルバイトで雇っていた外国人スタッフをそのまま正社員として採用し、
アルバイト時代と同じような業務をしてもらいやすくなります。
「技術・人文知識・国際業務」では単純労働が認められていなかったので、飲食店やコンビニで接客をしていた外国人スタッフを正社員にしたとしても
そのまま接客業務をさせることはできずにオフィススタッフとして業務してもらうしかありませんでした。
しかし「特定活動46号」では単純労働も可能なので、正社員になってもアルバイト時代と同じような業務を行うことも可能です。
アルバイトとして外国人スタッフを雇っている会社にとっては非常に魅力的な就労ビザだと言えます。

「特定活動46号」のデメリット

日本の4年制大学を卒業していないといけない

外国人にとって「特定活動46号」の最大のネックは学歴だと思います。
短大や専門学校、日本語学校に通っている外国人留学生では「特定活動46号」を取ることができません。
また外国の大学を卒業していても日本の大学を卒業していないと駄目です。
「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能1号」のほうが学歴条件は易しくなっています。

最初の2年間は1年ずつしか在留期間が取れない

外国人の方が気にされるのが「在留期間」です。
在留期間は主に1年、3年、5年と決まっています。外国人の方にとってはできるだけ長い在留期間が欲しいところです。
一般的には社会的信用やそれまでの申請内容に応じて在留期間は長く認められる傾向があります。
在留期間が長いほど入管からもきちんと認められているという安心感も得られます。

しかし「特定活動46号」では一律で最初の申請で1年、次の更新でも1年と決められています。
どんな人に信用がある人でも最初は1年しか在留期間がもらえません。
「技術・人文知識・国際業務」の場合は最初の申請から3年の在留期間がもらえることもありますので
ここは大きな違いといえます。

もちろん「特定活動46号」でも2回目の更新以降は3年や5年の在留期間が認められるようになりますので最終的には違いがないのですが、外国人のなかには在留期間を気にする方もいるのでここは注意が必要です。

「特定活動46号」と「技術・人文知識・国際業務」で変わらないところ

家族の帯同はOK

どちらも家族帯同可能です。手続き面で違いはありますが、要件やハードルは基本的に同じなのでここで優劣は特にありません。

永住権も取れる

将来「永住権」を取ること場合も条件は変わりません。「特定活動46号」だから不利になるということもありません。

何度でも在留期間を更新できる

「特定活動46号」も何度でも在留期間を更新できます。働いている限りは日本に滞在することができます。

フルタイムで就労可能

どちらもフルタイムでの就労を前提としています。逆にアルバイトやパートなどは難しいです。

在留資格申請のための会社側が準備することも同じ

基本的にどちらも同じような書類を準備することになります。どちらのほうが手続きが煩雑ということもないように思います。

どちらがいいかは業務に応じて決めたほうが良い

「特定活動46号」「技術・人文知識・国際業務」のどちらの条件もクリアした外国人の場合、どちらを選ぶべきかは会社でどのような業務を行うかに応じて判断するのが良いかと思います。
個人的には幅広い業務ができる「特定活動46号」がお勧めではありますが、外国人によっては最初の在留期間が1年しかないことや「特定活動」という響きに嫌なイメージを持っている方もいらっしゃるのでその場合は臨機応変に対応していくしかないかと思います。

実際にはそれぞれの会社や外国人によってさらに細かい背景があるかと思いますのでどちらがいいのかはより個別的に検討していく必要があります。
どのように判断していいのか迷われる場合にはぜひお気軽にご相談ください。