外国人シェフを雇う際の注意点とは?

メモを見ながら話し合うスーツ姿の外国人4人

中華料理店やインド料理店など、さまざまな外国料理店で外国人シェフが働いています。
こうした外国人の多くは「技能」ビザを持っていることが大半です。
ここでは「技能」ビザを持った外国人を雇う際に注意すべき点を解説します。

最大のポイントは「10年間の実務経験」

外国人シェフを雇う場合、「技能」ビザの条件である「10年間の実務経験」を満たしていることを確認する必要があります。
(「技能」ビザの詳細については下記記事を参照ください。)

在留資格「技能」

「技能」は主に外国人シェフが取得する在留資格です。日本には多くの外国料理レストランがあり、そうしたレストランで外国人が働くために取得するのが「技能」の在留資格…

この実務経験は「外国の料理店」で「外国料理のシェフ」として働いた経験です。
例えばイタリアでイタリア料理のシェフとして10年間働くと条件を満たします。
この場合、日本でも「イタリア料理のシェフ」としてしか働くことはできません。

ちなみに母国の料理以外でも実務経験さえ満たしていれば問題ありません。
ドイツ人やエジプト人がイタリア料理シェフとして10年間働けば、上記と同様に条件を満たします。

この実務経験の条件があるため、日本の調理専門学校を卒業したばかりの外国人をシェフとして雇うことは「技能」ビザではできません。
そのため外国人シェフを雇うパターンとしては

①外国から外国人シェフを連れてくる
②既に日本で働いている外国人シェフを転職で連れてくる

この2つのパターンが考えられます。

①外国から外国人シェフを連れてくる

このパターンの場合、最も大変なのが「10年間の実務経験を証明すること」です。
入管にはすべて書面で提出する必要があるため、10年間働いたことを証明する書面を在籍したレストランに発行してもらう必要があります。
この在籍証明書は外国から自分たちで取り寄せる必要があるため大きな手間がかかります。

同じ店で10年間働いていれば1つのレストランに頼むだけで良いですが、
転職を繰り返している場合は10年間分の実務経験を証明するために数店舗のレストランに在籍証明書をお願いする必要があります。
在籍証明書には働いた年数を書いてもらうことが大前提ですが、電話番号やメールアドレス等の連絡先を書いてもらうことも必須です。
入管はレストランに電話をかけて実際に働いていたかどうか確認することがあるからです。

レストランが潰れていた場合など在籍証明書を発行することが困難な場合、実務経験を証明することができないため
「技能」ビザも残念ながら取得できません。
非常に厳しいですが、それだけ「10年間の実務経験」というのは重い条件となっています。
10年間も厳密に証明しなければならず、「9年11か月」でも条件を満たしていないといわれます。

なお10年については連続している必要はなく、途中で別の仕事をしていたとしてもトータルで10年間の実務経験が証明できれば問題ありません。
また調理専門学校等の教育機関でその料理の勉強をしていた場合、実務経験に含むことができます。
(2年間イタリア料理の専門学校で学んだ場合、8年間イタリア料理シェフとして働けば条件を満たします。)

外国からシェフを連れてくる場合、能力や資質も重要ですが「実務経験を満たしているか、その証明ができるか」という点も考慮すると
その後の「技能」ビザ取得が容易になり採用もスムーズに行うことができます。

②既に日本で働いている外国人シェフを転職で連れてくる

このパターンの場合、実務経験については既に証明済みであるためビザについては心配することはありません。
シンプルに転職する、というイメージで考えて頂ければ大丈夫です。
ちなみにイタリア料理シェフとして働いていた外国人を中華料理や日本料理シェフとして雇うことはできません。
イタリア料理シェフが転職できる転職先はあくまでイタリア料理レストランのみです。

外国人が転職する際の一般的な手続きとしては

①「契約機関に関する届出」の提出
②「就労資格証明書」の申請

この2つがあります。どちらも入管に書類を提出すれば問題ありません。
(外国人の転職についてはこちらの記事も参照ください。)

外国人を転職で雇うときに必要な手続きとは?(就労資格証明書について)

人員不足が叫ばれる昨今、別会社で働いていた外国人を転職で採用することもあると思います。 今回はそうした外国人を転職で採用するときに必要な手続きについて解説します…

外国から連れてくるパターンと比べると、「技能」ビザの実務経験の条件を考慮する必要がないため、
採用までのスピードや手間が圧倒的に違います。
その代わり給与面等の条件は転職前と転職後でシビアに比較されるためそちらの面で他社と競合することになります。

どちらのパターンを選ぶかはお客様の状況によっても変わってくるかと思いますので慎重に検討する必要があります。
「どちらのパターンにすれば良いのかわからない!」という方も是非ご相談ください。
お客様のご事情を伺って一緒に検討させて頂きます。

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