20歳以上でも二重国籍の人がいる理由とは?
日本は「原則」二重国籍を認めていない
国際結婚カップルにとって、国籍は非常に悩ましい問題です。
自分たちの国籍はもちろん、子どもの国籍についてもいろいろと考える余地があります。
大原則として、日本は二重国籍を認めていません。
しかし、なかには日本国籍を持ちつつ外国籍を持っている方がいることも事実です。
どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
たまに「二重国籍=即法律違反!」という方がいらっしゃいますが、必ずしもそうしたケースに当てはまらないこともあります。
(もちろん法律違反で二重国籍になっている場合もありますが。。)
日本において二重国籍を持つことは珍しいかもしれませんが、決して特殊なケースとは言えないと思いますので、どのような場合にそうしたケースが発生するのか、考えてみたいと思います。
国籍の選択
未成年の子どもについては、20歳までは暫定措置として二重国籍はOK、20歳を迎えるときに国籍を選ぶようになっています。
・18歳に達する以前に重国籍となった場合→20歳に達するまで
法務省「国籍の選択について」
・18歳に達した後に重国籍となった場合→重国籍となった時から2年以内
以前は「22歳に達するまで」でしたが、2022年4月より20歳に引き下げられました。
国籍を選ぶ方法ですが、日本国籍を持っていたいという方が行うのが「国籍選択届の提出」です。
これは役所(大使館含む)に提出するだけで済む非常に簡単な手続きです。
この届出を提出することで日本の国籍を選んだという手続きは完了します。
ここで重要なのが、国籍選択届を提出で完了するのは「日本国籍の選択」だけで「外国籍の離脱」は別の手続きである、ということです。
つまり、日本国籍を選んだだけでは自動的に外国籍がなくなるわけではなく、二重国籍のままになっていることがあります。
(このあたりは少々ややこしく、国によっては日本国籍を選んだ時点で外国籍が喪失する国もあります。)
「国籍選択届」を提出して「外国籍の離脱」をしない
二重国籍だった人が日本国籍を選んだ場合、外国籍を離脱することは「努力義務」とされています。(国籍法16条第1項)
ということは外国籍の離脱は義務でも強制でもなく、罰則もないということです。
これは決して二重国籍を積極的に認めているということではなく、やむを得ないケースを想定しています。
国によっては国籍離脱を認めていない国や国籍離脱に大きな手数料等の費用が掛かる国もあり、
本人の意思だけでは国籍離脱ができない状況も考えられます。
もし外国籍離脱を義務や強制にしていた場合、こうした方々が不利益を被ることを考慮してあくまで「努力義務」とされているのです。
そのため原則二重国籍を認めていない日本においても二重国籍を持つ方々が存在することになります。
二重国籍のこれから
現在二重国籍を認める国が増えてきているなか、日本においても政治や司法の分野で二重国籍の議論が盛んにおこなわれています。
河野太郎 衆議院議員も2022年1月15日付のご自身のブログで二重国籍について見解を述べられていました。
国家と個人のアイデンティティの関係は簡単に解決する問題ではありません。
しかし時代に応じて国家意識や人権意識も変容していくなか、それに伴う法律もまた対応していく必要があります。
二重国籍については今後認められる可能性もありますが、まずは世論への周知や理解の浸透が大切になってくると思います。
そのための草の根運動として、こうしたコラムでも情報を発信していきたいと考えています。
お気軽にお問い合わせください。092-558-8438受付時間 10:00-17:00 [ 土・日・祝日除く ]
メールはこちらから